book report.

自由気ままに読んだ本の感想を。

「羊たちの沈黙」

 

羊たちの沈黙

新潮文庫

トマス・ハリス 著、菊池 光 訳

 

ハニバル・レクター博士を知っている人は多いだろう。人喰いハニバル。その狂気性が興味を引く作品だ。しかし私は、頭のいい人の発想や言動に憧れがあり、優秀な頭脳を持つ人の思考を覗きたくてこの本を読むことにした。サイコパスで狂人ではあるが、この本に登場するハニバル・レクター博士はまさしく、非凡な頭脳とそれに伴う知性、思考の鋭さを感じられる人物だからだ。そんな博士だが、実はこの本の主人公ではない。

 

読み進めるとすぐに、博士の紳士的な魅力に引き込まれた。

 

人喰いハニバルという前情報を聞き、博士へ強力なレッテルを感じながら読み進めたのだが、初登場の博士からは襲い掛かってくる印象は感じず、紳士的な対応に驚かされる。そう、これこそが博士の魅力。礼儀正しい。主人公と、まずお互いの自己紹介から関係性が始まるのである。

 

頭のいい人はどうして落ち着いていて礼儀正しいのだろうか。私が人生で出会ってきた頭のいい人も、みんな落ち着きがある。知性も感じる。話をすれば豊富な語彙、知識で質量の高い話をしてくれて、そしてどこか雰囲気に不思議なものを感じる。IQの差が大きいと会話が成立しない。とは聞いたことがあるが、これが不思議さを生んでいるのだろうか。

 

読む限り、レクター博士は上記の最上級クラスだ。博士は、この頭のいい人の不思議さが魅力となって引き込まれるから面白い。

 

天才に憧れる人がいたら・・・読んでみてほしい作品だった。

この本は旧約だけど・・・直訳のような日本語が堅苦しい雰囲気を醸し出す。読みにくいけどスリルは強く感じられた。

 

ちなみに私が天才に憧れるようになったきっかけは、ホワイトカラーっていう海外ドラマだ。マット・ボマーが演じる天才詐欺師が最高にかっこいい。

 

羊たちの沈黙 (新潮文庫)

羊たちの沈黙 (新潮文庫)

  • 作者:トマス ハリス
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/09
  • メディア: 文庫